書評

損切りラインをどこに置くかで成績は大きく変わる

 

 

こんにちは、あやとです。

今回は、損切の位置がどのような影響を与えるのか、について書きたいと思います。

 

検証にはマネックス証券のTradeStation(トレードステーション)を使っています。

 

売買ルールは何でもいいのですが、今回は以下のルールで検証しました。

(一応書きましたが、今回は損切の話なので、読み飛ばしてもらっていいです。)

 

セットアップ: 高値>前日の高値、安値<前日の安値

仕掛け:今日の終値で、指値で「買い」を仕掛ける。

利益確定:終値で利益がでていれば、次の日の寄り付きで、手仕舞う。

損切:約定価格から、一定の割合で手仕舞い

 

 

要は、エントリー価格からX%下がった位置で損切する、というルールです。

 

 

S&P500ETFで検証

 

 

ではさっそく検証。

銘柄コード1547、S&P500のETFで検証します。

 

まずは、X=2%(StopRatio=0.98)から。

エントリー価格から、2%下がった位置で損切する場合です。

 

(これ以降に貼り付けた画像はすべて、取引毎の収益曲線となっています。)

 

 

 

うーん、まったく機能していませんね(笑)

これでは使いものになりません。

 

 

 

では損切のラインを、もっと下に下げてみましょう。

X=20%、つまりエントリー価格から20%下がったところに損切ラインを置きます。

すると・・

 

やった! 安定した右肩上がり! 

使えるルールができたぞ!!

 

 

 

 

そう思った方は要注意。

このルール、単に損切りのラインをぐっと下にさげて、損切に引っかからないようにしただけです。

 

 

さらに例を見ていきます。

日経ETFで検証

 

このルールを今度は日経平均(銘柄コード1321)に適用してみます。

先ほどの2枚目の画像と同じく、X=20%です。(20%下がったところで損切り)

 

 

そう、今度はまったく機能していないのです。

 

 

ではさらに損切ラインを下にしてみましょう。

X=50%とします。

安定した右肩上がりとなりましたね。

 

なぜこのようなことが起こるかといえば、損切りのラインを下にずらせば、損切りに引っ掛かることがなくなるからです。

1枚目の赤い〇で囲んだところが、2枚目では消えていることに注意。

 

 

考えてみてください、「損切りをしなければ、損をしない」のです。

 

(今回の場合は、「終値で利益がでていれば、次の日の寄り付きで、手仕舞う。」というルールなので、若干の損失はでていますが)

 

 

では損切りをしない方がいいのか、というとそうではありません。

 

損切りをしなければ、ポジションを永遠に持ったままになる可能性があります。

 

下手をすれば10年間、含み損のまま抱え続けるかもしれません。

想像してみてください。

かなり精神的にキツイですよね。

 

そして、それはもはやトレードではありません(笑)

 

 

次に、X=40%の位置に損切りを置いてみます。日経ETFの2枚目の画像(X=50%)Xよりは上の位置で、1枚目の画像(X=20%)よりは下の位置です。

 

 

分かりますか? 赤い〇で囲んだところを見てください。

たった1回の損失で、大部分の利益が吹き飛んでいます。

損切りの位置を離したため、1回の損失が大きくなっているというわけ。

 

 

以上のことから言えるのは、

 

損切りラインを大きく離すと、ドローダウンが大きくなる。

さらに離していけば、そのドローダウンすら起こらなくなり、まるで優れた売買ルールかのように見えてしまう。

 

これは少し考えてみれば当たり前のことです。

しかし、「優れた売買ルールができた!」とテンションが上がってしまうと、つい忘れてしまうことでもあるので、注意が必要です。

 

 

「損切りの位置でパフォーマンスは大きく変わってしまう。」

肝に銘じておきましょう。

 

『システムトレード 基本と原則』という本の中でも、以下のようなことが書いてあります。

 

一般的にトレーダーは、許容できそうな仮想純資産曲線が得られるまで損切りの逆指値を遠ざけ続ける。彼らは無意識のうちに、売買ルールをヒストリカルデータにぴったり合うように調整している。彼らは損切りの逆指値を遠ざけて、負けトレードが続くのを避け、何とか売買ルールを見劣りしないようにする。彼らは最適な損切りの逆指値を置く位置を見つけたと思っている。だが彼らが行ったことは、自分たちの売買ルールをデータに合うように調整しただけだ。

 

ぼくが先ほど、損切りの位置を離していったのも、この引用がまさに言っている通りのミスをしているというわけ。

 

このルールはそもそも使い物になっていないのです。

 

資金効率

 

さらに言えば、損切りの位置を離すと、資金効率が悪くなってしまいます。

 

例えば、

100万円で損切り1%

10万円せ損切り10%

 

どちらもリスクは同じ、1万円です。

しかし、この2つのルールの成績が全く同じだと仮定すると、

前者のルールは100万円で運用している分、得られる利益は後者の10万円の、10倍となります。

 

つまり、損切りの位置を大きく離すと、ポジションサイズを大きくするのが難しくなるということ。

 

損切りの位置が直接、そのトレードのリスクを表していますからね。

 

また、損切りラインを離すほど、ポジションの保有期間は伸びていきます。

「すぐに損切りをせず、保有したままにしておく」わけですからね。

 

その意味でも、資金効率は悪くなります。

 

トレード本を読む際にも注意!

 

『システムトレード 基本と原則』から引用すると、

 

季節性に基づいたトレーディングの支持者は普通、損切りの逆指値を遠くに置くことに賛成する。なかには値動きの 3%を超える位置に損切りの逆指値を置く人もいる。季節性に基づくセットアップの多くは勝率を上げて、「季節性」の傾向を信頼できるように見せるために、大変離した損切りの逆指値を必要とする。

 

 

とあります。

著者はアノマリー(季節性)が嫌いなようですね。

 

それはともかく、アノマリーに限らず、「損切りラインを離すことで、機能しない売買ルールをあたかも機能するように見せることができる。」というわけ。

 

 

トレード本を読む際には、「損切りを離して、機能しているように見せかけているだけではないのか?」ということに、慎重になった方がよさそうです。

 

では、損切の位置は近くがいいのか?

 

実はこれも難しいところなのです。

 

というのも、損切りの位置が近すぎると、ちょこちょこ損をするばかりで、まともに利益がでなくなります。

 

損切りの位置をX=0.01%にしてみましょう。(1547,S&P500ETF)

 

今度は安定した右肩下がりです。

 

利益がでる前に、すぐに損切りラインに到達しているというわけ。

 

ラリー・ウィリアムズも、著書『ラリー・ウィリアムズの短期売買法』の中で、

 

市場に対する正確なタイミングの取り方を知っている人は 、私の知るかぎりいない 。トレ ーディングで成功したければ 、それが解明されるまでは損切りは現在価格から十分に離れた位置に置いたほうがよい。

 

 

と言っています。

 

 

結論

 

上記のラリーの言葉は、真実をよく言い当てていると思います。

「価格が上昇・下落するタイミングを正確に見極めることができるならば、損切りを近くに置いても、それに引っかかる可能性は低くなる」というわけ。

 

結論は、

 

良い売買ルールは損切りを近くに置いても機能する。

悪い売買ルールは損切りを離さないと機能しない。

 

損切りを遠くに離せば、一見機能しているように見えるが、それは単なるまやかし。

損切りを離すと、ポジションの保有期間が長くなり、資金効率も悪くなる。

ということになります。

 

ラリーの言葉をぼくの言葉で言い換えると、

「損切りの位置はできるだけ近くに置きたい! 

でも私たちは正確に上昇・下落のタイミングを言い当てることはできない。

だから少しは、反対方向に動く余地を残さなければならない。」

ということ。

 

今回は以上となります。

損切りラインの重要性を分かってもらえたでしょうか?

損切りはかなり奥が深いですね。ではまた次回。

 

https://ayatoyukawa.com/systemtrading/

こちらの記事もおすすめ