書評

『タートル流投資の魔術』をレビュー。何度も読み返したい良書。

 

先日読んだ『タートル流投資の魔術』についてレビューします。

この本は、中~長期のトレンドトレーディングに関する本です。

 

短期売買の本ではないので注意。

ただし短期売買に応用できる部分は多いと思います。

著書の中でも以下のように書かれています。

デイトレードやスウィングトレーディングを含むほかのスタイルでも研究や取引を行なったので、本書で概説した原則をその種のトレードにも適用できることはわかっている。

 

 

星をつけるとこんな感じ。

手法
資金管理
心理

 

かなりの良書です。トレンドトレーダーであれば、即買いでしょう。

独自の視点も多く、あまり類書がないように思います。

またこの手の本は翻訳が酷く、読みにくいことが多いですが、この本ではちゃんと日本語らしい訳になっています。

 

 

タートルとは? 著者はどんな人?

 

その前に、著者について簡単な説明を。

「タートルズ」とは、アメリカにあった伝説のトレーダー養成所。

「タートルズ」のメンバーのことを「タートル」と呼んでいるようです。

 

タートルズ設立のきっかけとなったのが、リチャード・デニスとウィリアム・エックハートの「トレーダーは養成可能か?」という賭けに始まりました。

 

著者のカーティス・フェイスは元タートルです。

著者は当時19歳の最年少タートルでしたが、その中でもトップクラスに優秀な1人。

そしてタートル・プログラムの期間中に年間100%以上、4年で3000万ドルものリターンをたたき出したそうです。

 

ただし著者いわく、すべてのタートルが稼げたわけでわなく、中には脱落した者もいたそう。
その理由を「心理」の面から解説しています。

 

 

 

5つの手法が検証されている

 

紹介されている手法は、完全に定量化された、メカニカルなトレード手法

第10章で「ATRチャネル・ブレイクアウト」「ボリンジャー・ブレイクアウト」「ドンチアン・トレンド」「ダブル移動平均」「トリプル移動平均」の5つの手法が紹介されています。

 

正直、手法は目新しいものでもないため★3つにしようか迷ったのですが、第11章の「バックテストのうそ」でカーブフィッティングに関する考え方が面白かったため、★4つとしました。

 

本の中でも次のようにあります。

勘のかわりに、実験と調査に基づいた手法を使った。

何がうまくいって何がうまくいかなかったかを決めるのに事例証拠は用いず、もっぱらコンピュータによる分析に頼った。

 

トレンドフォロー型のシステムを作ろうと考えているシステムトレーダーならば、ドンピシャの内容だと思います。

 

 

 

5つの手法はすべて単純な手法。

初心者ほどシステムを複雑にしますが、多くの成功したトレーダー達は「シンプルなほど上手くいく」と言っています。

 

隠れた秘密などというものはない。実はわたしが使った手法は、ほかの多くのタートルが使ったものよりずっと単純だった。

 

 

『システムトレード基本と原則』という本の中でも

良い期待値を持つ売買ルールを作るカギは単純さにある

とあります。

 

 

トレンドトレーディングの特徴

 

相場でトレンドが生じるのは、約30%しかありません。

そのためトレンドトレーディングの特徴は、勝率の低さにあります。

その代わりに一度トレンドに乗れば大きな利益を期待できます。

 

有名な手法として「ドンチャンブレイクアウト」や「ゴールデンクロス・デッドクロス」を検証したことがある方も多いでしょう。

そして「機能しない」と判断してしまった方も多いでしょう。

 

実はトレンドトレーディングは1銘柄だけでは機能しないのです。それでは資産曲線はガタガタになるでしょう。

なぜならトレンドが生じるのは全体の約30%しかないから。

半年間利益がでないなんてこともザラにあるわけです。

 

 

これを解消するためには、数多くの銘柄に分散して投資する必要があるのです。

『システムトレード基本と原則』にも次のようにあります。

長期のトレンドトレーディングがうまくいく理由は、できるかぎり広い範囲に、できるかぎり長期間にわたって網を投げ、できるかぎり多くの市場をおおうからだ。こうすることで、1~2の急騰相場を素早くつかむ可能性が増える。長期のトレンドトレーダーが成功するためには、20~30銘柄を監視してトレードを行う必要がる

 

 

タートル流・トレンドトレーディング

 

タートルの手法はトレンドフォロー型なので、上記のように、数多くの相関の小さい銘柄に分散投資します。

 

 

問題はどの銘柄にどれだけ賭けるか。

手法がメカニカルだとしても、資金管理がずさんだと意味はありません。

 

 

タートル流が面白いのは、ATRでポジションを管理するということ。

ATRとは真の値幅の20日指数移動平均のことです。タートルはこれにNという名前をつけています。

ATRはたいていの証券ソフトで表示させることができると思います。

 

 

ATRはボラティリティ(変動率)を表す指標。

各市場のボラティリィティをもとにポジションサイズを決定していくのです。

 

具体的には

(証券口座の1%)÷ 20日ATR = ユニット・サイズ

であり、このユニットをもとにポジションの大きさが決まります。

また損切のラインは、エントリー価格から20日ATR×2だけ離れた位置に置きます。

 

 

このようにATRというボラティリィティを表す指標をもとにポジションを決めることで、各銘柄に同じだけ賭けることが可能となっているというわけ。

 

 

デメリット

 

以下はトレンドトレーディング全般にいえることです。

トレンド・トレーディングを行うためには、多くの銘柄に同時に賭ける必要があります。

そのため多額の資金が必要となるのです。

 

ということは長期のトレンドトレーディングは、資金に限りのある個人向けの手法ではないということです。

 

本書『タートル流投資の魔術』の中でも

トレンドフォローに焦点を当てているからといって、これが最良のトレーディング手法だと暗に訴えているわけではない。

とあります。

 

『システムトレード基本と原則』からも引用。

普通、短期のスイングトレードは1~2銘柄だけに焦点を合わせることもできるので、こちらの方が個人トレーダーに向いている。

 

 

資金力のないぼくらは『タートル流投資の魔術』に書かれている内容をそのまま利用するには無理があります。

ただ冒頭で紹介したように、著者いわくこの本の内容はデイトレードやスイングトレードにも応用できるそうです。

ぼくは、個人トレーダーはデイ・スイングが無難かなぁと思っています。

 

それでもトレンドフォロー型の戦略を使いたい人は、時間枠を短期~中期程度にすればいいと思います。

 

もう一度『システムトレード基本と原則』から引用。

口座資金が多少大きく、10銘柄くらいを監視してトレードを行えるトレーダーなら、中期のトレンドトレーディングを考えてもよい。

 

 

 

カーブフィットしているかどうかの判断

 

『タートル流投資の魔術』の中で一番印象に残ったのは、第11章「バックテストのうそ」のなかで紹介されている断崖(クリフ)という考え方です。

 

クリフとは画像の赤〇のように、パラメーター(変数)のごく小さな変化で生じる実績の大きな変化のことを言っています。

たしかに断崖のように見えますね。

 

少しの変化で期待値が大きく変化しています。

「(変数=0.35で)大きな期待値が得られた!」と喜んで、画像の手法を使ってはいけません。

変数の値を0.05変化させただけで、期待値が5分の1に落ち込みます。

 

 

ぼくはよく検証記事の中で、パラーメーターの変化に対する成績の変化をみています。

実はこの本から影響を受けているのです。

 

 

心理 | 『タートル流投資の魔術』

『タートル流投資の魔術』では、何度も「心理」の重要性を説いています。

 

タートルが使ったのはメカニカルな手法。

にもかかわらず、タートルの成績には違いが表れたのです。

中には脱落する者もいたと書かれています。

 

著者はいわくその違いを生み出したのは心理。

ほかのタートルはみな不可解な理由から、リッチとビルから教わったシステムに従うのをやめていた。

 

↓リチャード・デニスの言葉

「いつも言うように、わたしのトレーディング規則を新聞で発表したところで、誰も従わないだろう。重要なのは、一貫性と自己規律だ。ほとんど誰だって、わたしたちが教えた内容の8割がたの完成度を持つ規則のリストをつくり出せる。その人たちにできないのは、ものごとが悪い方向へ進んでも、確たる自信を持ってその規則を守ることだ。

 

 

 

本書ではトレーディングの障害となる心理を、心理学の用語の解説を交えながら紹介しています。

例えば「損失回避」や「埋没費用効果」など。

 

これらはトレードに限らず、あらゆることに役立つ内容だと思います。

筆者はエピローグ「人生の目標は何か」で、自身の人生観をタートル流のトレーディング法と重ね合わせています。

 

 

 

最後に|『タートル流投資の魔術』

 

『タートル流投資の魔術』は、『システムトレード基本と原則』に次ぐ良書だと思います。

 

トレーダーならば一読の価値アリ。

ぼくは何度も読み返していきたいと思います。

ではまた。

 

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